西武鉄道

 西武鉄道は池袋、新宿から埼玉県西部地方に路線網を展開しています。池袋・秩父の池袋線、秩父線と、新宿・本川越間の新宿線をメインとして、北部多摩地域にも支線を有しています。第3位の名鉄の半分以下とはいえ、総延長距離176.6km(休止線は除く)は、民鉄界では4番目の規模を誇ります。かつては武甲山から産出されるセメントの輸送も担っていましたが、現在は他の大手私鉄同様に通勤輸送の充実に注力し、池袋線では複々線化工事も進められています。
 西武といえば、不動産開発や流通業など多角的に経営を行う鉄道会社としても有名で、景気が上向いていたかつての時代には、箱根などで他電鉄会社と熾烈なリゾート開発の争いを繰り広げていました。また、プロ野球球団の親会社としても知られていますが、かつてはパ・リーグに5つあった”電鉄系球団”も、今や西武ライオンズだけとなってしまいましたね。

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10000系。平成5年に登場した特急用車両。5000系”レッドアロー”の後継車である。5000系は直線的なデザインであったのに対し、この車両は前面に曲線が用いられ、丸みを帯びた柔らかいイメージを受ける。グレー基調の外板塗装ではあるが、5000系のと同様に、側面には赤い帯を巻いている。足回りは、5000系や101系などの廃車発生品を使用しており、また、秩父線内の急勾配に備えて抑速ブレーキを装備している。ただし、2003年に増備した編成は、VVVF制御で、抑速ブレーキはない。
7両編成12本が新宿線「小江戸」、池袋線「ちちぶ」、「むさし」で活躍中である。
新宿線航空公園・新所沢間 2009.4.26
6000系。平成4年に登場した通勤用車両である。旧型車置換え、及び営団(現:東京メトロ)有楽町線乗入用として投入された。初めて10両固定編成となり、また、本線用の車両として、本格的にVVVFインバータ制御が採用されたのも、この系列が最初である。
平成7年まで登場した17本はこれまた初めてステンレス車体となり、帯も青くなったことから、従来の黄色のイメージを大きく打ち破った。平成10年までに増備された8本はアルミ車体で、最終3本は戸袋窓もなくなっている。
現在、2本は新宿線で活躍するが、残り23本は池袋線系統で使用されている。2008年6月に開業した東京メトロ副都心線へも6000系が乗り入れるが、副都心線に入れる編成は、前面が白くなり、またヴァリエーションが増えている。
新宿線入曽・新所沢間 2008.10.28
20000系。平成12年に登場した通勤型車両である。アルミ合金車体で6000系の後期車を踏襲した形にはなっているが、地下鉄乗入を考慮しておらず、前面は非貫通となっている。制御方式はVVVFインバータ方式となっている。
10両編成、8両編成ともに8本が製造され、池袋線(系統)でも走っているが、大半の編成は新宿線(系統)で活躍する。
新宿線小平・花小金井間 2009.3.29
30000系。平成20年に登場した通勤用車両である。前面形状はこれまでの西武にはなかった、丸みを帯びたようなものとなっており、また、裾絞りが取られた(西武の通勤用車両としては初)こともあり、ソフトなイメージになっている。”スマイルトレイン”の愛称にふさわしい。アルミ製車体ではあるが、ブルーとグリーンのグラデーションが配されたのも、斬新である。
8両編成と2両編成が配置され、池袋線や新宿線で活躍している。101系や301系を置き換えるべく、今後も増備が続く予定である。

新宿線小平・花小金井間 2009.3.29


2000系。昭和52年に登場した通勤用車両である。当初から新宿線用に設計、製造されたが、激しい混雑に対応すべく、オリジナルの車両としては初めて4ドアとなった。また、それまで製造続けていた101系、701系などは、非貫通前面であったが、2000系には将来の新宿口地下化を見据えて、非常用ではあるが、貫通扉が前面に設けられた。国鉄の近郊型電車のような前面は西武では大変珍しい存在であった。
制御装置はこれも西武初の界磁チョッパ方式となっている。
昭和63年から増備されたグループはモデルチェンジされて、前面方向幕や窓が黒く縁取られ、側窓が2段式から一段下降式に改められた。このグループは300両以上が製造され、2000系を西武の最大勢力に押し上げた。こちらは池袋線にも投入されている。
登場から年数が経過しているが、今世紀に入ってから、パンタグラフの換装、方向幕のLED化、室内の改良などの更新工事を施され、今後も西武の主役としての活躍が期待される。


写真上:新2000系4連を先頭に西武新宿行き急行が駆け抜ける。4連はモデルチェンジしたタイプにしか存在しない 新宿線入曽・新所沢間 2008.10.28 

写真上:オリジナル形態の8連編成。こちらのタイプには当初スカートが装備されていなかった。
新宿線入曽・新所沢間 2008.10.28
3000系。昭和58年に登場した通勤用車両である。101系の8連ヴァージョンである301系のマイナーチェンジ版として製造された。ブラックフェイスの非貫通前面に3ドアの車体は踏襲しているが、前面のブラックフェイスは、真ん中の柱がなくなって連続したようなデザインとなり、側窓はユニットサッシに改められた。
制御方式は101系の抵抗制御方式から2000系で採用された界磁チョッパ方式に改められている。
8連9本が配置されているが、他系列との併結ができないため、10連の運用には入れない。それでも、多摩川線、山口線を除いたほぼ全線で活躍している。
新宿線小平・花小金井間 2009.3.29
101系。昭和44年に登場した通勤用車両である。同年に開業した秩父線での使用も考慮されたが、同線は山岳線区であり、電動機出力がそれまでの形式よりもかなり向上している。登場してから7年間は、低運転台タイプの前面で、従来車とほぼ同様の車体で製造されたが、昭和54年からの増備車は、前面窓の天地寸法が狭まり、周囲はベージュ(後に黒)に塗られ、高運転台に改められた。
池袋、、新宿両系統に投入され、西武線内では新交通システムの山口線を除く全線で活躍が見られた時期もあったが、1990年代以降は後継車両の投入で活躍の場を徐々に狭められていく。しかし、足回りは9000系を始めとする他系列に転用され、装いも新たに生まれ変わるものもある。他社への譲渡も盛んに行われている。
写真:新宿線でも101系が見られる機会は少なくなり、このように2+4両の組み合わせは、過去のものになった。オリジナルタイプの101系は、多摩川線内だけでしか見られなくなっている。
新宿線入曽・新所沢間 2008.10.28


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