名古屋鉄道

 名古屋鉄道は愛知、岐阜の両県に約445kmの路線網を有する大手私鉄で、「名鉄」の名前で親しまれています。今世紀になって路線の廃止が相次ぎましたが、近鉄、東武に次ぐ規模となっています。愛知電気鉄道、名岐鉄道を中心に多くの会社が合併して中京圏に広大なネットワークを形成するに至りました。
 中心となるのは豊橋・名古屋・名鉄岐阜間を結ぶ名古屋本線であり、中部国際空港からの常滑線、犬山線が縦に貫くように延び、それぞれの路線から、沿線の各都市との間を支線で結んでいます。名古屋を中心に据えた運行体系を整えているため、支線から本線に入り、また別の支線に出て行くスジが多く、運行形態がとても複雑なものになっています。早期から一般型車両にも積極的に転換クロスシートを装備するなど、他の大手私鉄に比べてアコモを重視した営業をしていたのも特徴でしたが、近年は輸送量を重視すべく、通勤型電車の増強を進めています。
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1000系。昭和63年に登場した特急型車両であり、「パノラマスーパー」の愛称で親しまれている。”パノラマカー”7000系を踏襲し、運転台を上げて、最前列からの前面展望を可能にしている。座席はリクライニングシートが採用されたが、展望室部分の向きは固定されている。当初は4両固定編成で、全車有料の特別車であった。
登場してから3年後に、営業施策の変更で、一部の編成は2両ずつにばらされ、新たに増備された一般車4両と通しの編成を組むことになった。以降、編成形態は変わったものの、名鉄特急の主役として活躍し続けている。
しかし、2007年以降、写真のように、オリジナルの形態を維持する、特別車のみの4両編成は、機器を5000系に譲って廃車されており、”ミュースカイ”以外の特急がすべて一般車入りとなる2008年12月をもって、全廃される予定である。
写真:名古屋本線 神宮前 2008.10.25
2000系。平成17年に、愛知県常滑沖に開業した中部国際空港へのアクセス特急用に登場した。「ミュースカイ」の愛称が付く。全車特別車の編成である。
これまでの名鉄特急のイメージを一新し、ブラックフェイスの貫通型前面が採用された。このため、展望室が廃止されたのも特筆される。塗装も前例を破り、白地にドアの周りに青の縦帯が入るというものになった。赤色は一切使われていない。機能面では、車体傾斜装置を搭載しており、曲線での通過速度が上がっている。
登場当初は3両編成であったが、利用客が増加したため、すぐに1両増結されている。
写真:名古屋本線 神宮前 2008.10.25
2200系。上記の2000系をベースとした、こちらは一部特別車の特急型車両。同じく2005年に登場している。豊橋、中部国際空港寄り2両は特別車で、岐阜、犬山寄り4両は無料の一般車である。一般車は3ドアで、1+2列の転換クロスシートが並んでいるが、扉間はロングシートと交互に配置されている。
前面は2000系に倣ったものであるが、2000系で青くなったスカートは、この形式では赤く染められている。一般車側と特別車側とで、前面の差異は連結器ぐらい。
中部国際空港へのアクセス列車用として登場したが、常滑線には入らない運用にも就いている。
写真:名古屋本線 神宮前 2008.11.1
5700系。昭和61年に登場した一般型車両である。当時から高速、急行は転換クロスシートの車両で運転されていたが、老朽化が進んでいた。また、これらの車両は、軽量鋼製車体で冷房化が難しく、置換え用として当形式が製造されることになった。
5700系も、車内は転換クロスシートが並び、また、前面については、助士席側の窓の天地寸法が広く取られて、客室内からの展望を極力確保されている。側窓はパノラマカーの影響と見られる連続窓が配されたが、片側に2つあるドアは両開きである。
新系列車が登場した現在では、普通列車の運用に就くことが多くなっている。 
写真:名古屋本線 神宮前 2008.11.1
3500系。平成5年に登場した一般型車両である。車体は6500系の後期車に準じている(この電車にはスカートが設けられているので、それがない6500系とは容易に識別可能)が、VVVFインバータ制御方式が採用され、ブレーキも電気指令式のものに改められている。ワンハンドルマスコンは、名鉄の車両では初めての装備となった。
全車4両編成で、136両もの大所帯である。120km/h運転を行えるスピードランナーで、本線、犬山線、常滑線の優等列車を中心に活躍している。
写真:後部に3100系を従えて”セントレア”に向かう 名古屋本線 神宮前 2008.11.1
6000系。昭和51年に登場した一般型車両である。従来の名鉄の一般型車両は、片側2ドアが主流であったが、ラッシュ時のスムーズな運行を目的として、3ドア車体となった。4両編成と2両編成がそれぞれ26編成製造され、名鉄一般型車両の一大勢力となっている。
製造も9年間の長きに渡ったため、1次から10次まで形態が異なっているが、大雑把に示すと、1-4次の初期車は側窓が連続窓に、5-8次の中期車は側窓が独立構造になった。9,10次車は2連8本のみだが、前面が非貫通構造に改められている。
3000系列が幅を利かしてきた現在は、支線系統での運用も多くなっている。中期車の4連は大半が瀬戸線に転じ、2連はワンマン化改造されて支線区に閉じ込められた格好になっている。

写真:後期車と初期車の混成6連が本線急行運用に就く 名古屋本線 鳴海 2008.11.1

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