紀州鉄道

 紀州鉄道線は、JR紀勢本線の御坊駅から西御坊駅までのわずか2.7kmを結ぶミニ私鉄です。平成14年に芝山鉄道が開業するまでは、日本で一番営業距離が短い私鉄でした。
 前身は昭和3年開業の御坊臨港鉄道ですが、昭和47年に経営難に陥っていた同鉄道を不動産会社が買収し、社名も紀州鉄道として現在に至っています。ちなみに同社は今でも不動産やホテル事業が主要事業ですが、この僅かな距離の鉄道(当時は3.4kmでしたが)を買収したのは、対外的な信用力を高めるためだったとも言われています。
 御坊駅は御坊市街地を外れたところに位置し、紀州鉄道が市街地へのアクセス鉄道になっています。そのため、ダイヤもJR線との乗継を考慮して設定されており、JRのダイヤ改定がなされると当鉄道も追従する形を取っています。
 御坊の次駅は学門駅ですが、縁起がよいということで、無人駅であるにもかかわらず、入場券が隣の紀伊御坊駅で発売されており、特に受験生に人気となっています。
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写真:キハ603形。1960年に大分交通の車両として登場した車両だが、15年後に廃線となり、新たなる活躍場所を求めて紀州鉄道にやってきた。湘南型スタイルを思い起こさせるような正面2枚窓に、側面はシル付きでバス窓が並ぶ、気動車の黎明期の姿である。床下は縦型のDMH17B(180ps)エンジンが搭載されている。連結運転は考えられていなかったのか、統括制御は不能である。大交時代そのままの姿で入線してきたが、後年、正面の窓はサッシ化されて角のRが取れて天地寸法も幾分狭くなり、紀鉄のオリジナリティが少し出された。
この古豪も北条鉄道からやってきたレールバスであるキテツ1形に置き換えられて、平成21年11月をもって運用から完全に退いた。
写真:御坊・学門間 2009.9.20

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